お金を借りにくいというイメージのある障害者ですが、どの金融機関も障害者だからという理由だけで融資を断ることはありません。
でも、実際に融資を断られたという人も周りにいて、実際のところ本当に借りることができるのか気になりますよね。
ここでは障害者がお金を借りられるかどうかについて情報を整理し、実際に借りるときの注意点や、利用できる公的融資制度についてご紹介します。

このページで分かること
障害者でも健常者と同じように生活できていれば、お金を借りるときの条件は健常者と変わりません。
一方で仕事をしていない障害者や、契約内容を理解できない障害者は、どの金融機関からもお金を借りることはできません。
全盲など物理的に契約手続きができない人は、サポートがあれば借りられる可能性もありますが、審査はかなり厳しくなります。
障害がある上に年収が低いとなるとなおさらです。
そのような状態にある人は、民間の金融機関ではなく国の貸付制度を利用して借りるようにしましょう。
お金を借りることができる障害者とできない障害者の違い
障害者と一括りにできないほど、それぞれの障害の重さが違います。
普通に生活をしている障害者も入れば、介助なしでは家から出られないという人もいます。
そのような人たちを一緒にして、借りられる、借りられないを説明しても意味がありません。
まずは、どのような障害者なら借りられて、どのような障害者が借りられないのかをはっきりさせていきます。
借りられないのは仕事をしていない障害者(年金受給者を含む)
これは障害者に限ったことではありませんが、仕事をしていない人に融資をしてくれる金融機関はありません。
障害があって働けないのだから、好きで働いてないわけではないと思うかもしれませんが、金融機関にしてみれば理由は関係ありません。
銀行も消費者金融も、貸したお金が返ってこないと商売になりません。
ですので、毎月安定した収入がない人には絶対に融資をしてくれません。
障害者年金があるけどダメなの?と疑問に感じるかもしれませんが、年金を担保にお金を貸すことは認められていません。
実際には担保にするわけではなく、年金から返済することになりますが、それによって障害者の生活が苦しくなったら、過剰融資だと責められるのは金融機関です。
金融機関はわざわざそんなリスクをとりたくないため、年金受給者へは融資を行いません。
また仕事をしていても、収入があまりにも少なすぎる場合にも融資を受けられません。
健常者でもそれは同じで、貸したお金を返すだけの収入がない場合には、無職の人とそれほど変わりませんので融資を断られます。

借りられないのは自分で契約内容を理解できない障害者
知的障害があり、契約内容をきちんと理解できないというケースでも借りることはできません。
ローンというのは契約に則って行われますので、契約書に書かれていることが理解できないというのは、契約そのものが成立しません。
この場合も、契約して返済できなくなったときに、障害者の家族から「無理やり融資された」と責められるのは金融機関です。
そのようなことを避けるために、契約内容を理解できない障害者への融資は行ってくれません。
物理的な理由で契約手続きができない障害者は借入れ先を選ぶ
健常者と同じように仕事をしており、安定した収入がある人でも、物理的な理由で契約手続きができないというケースがあります。
例えば、契約のために自動契約機を使わなくてはいけないのに、車いすを使っているため、自動契約機に入れないというようなケースです。
目が見えなくて契約書を読めないという場合も、点字の契約書があるわけではないので融資が難しくなります。
耳が聞こえないろう者の場合は、電話応対ができないため契約内容の確認ができずに融資を断られることもあります。
このように、金融機関のローンのほとんどが、障害者に対応していないというのが現実です。
サポートの人が付くなどすれば借りられることもありますが、このような理由で借りられないことがあるということも頭に入れておきましょう。
健常者と変わらない生活をしているのであれば問題なく借りることができる
障害者でも健常者とほとんど変わらない生活をしているのであれば、お金を借りるにあたっての問題はまったくありません。
そもそも障害者であることを伝える必要もなく、健常者と同じように申し込みを行って、審査を受ければいいだけです。
障害の重い軽いはあっても、すべて自分の意思で申し込みから契約まで進めることができれば、どんな障害者でもお金を借りることができます。
もちろん審査がありますので、その他の理由で審査落ちすることはあります。
ただ、障害者であることがマイナスになることはありませんので、安心してください。

障害者がお金をかりるのに利用できる公的融資制度
障害者でも障害の度合いによってはお金を借りることができると分かってもらえたかと思いますが、とはいえそもそも金融機関は銀行でも消費者金融でも審査が厳しいため、ちょっとした理由で融資を断られてしまう可能性があります。
そういうときに活用したいのが下記2つの公的融資制度です。
それぞれ民間の金融機関から借りることができない人の、セーフティーネットとしての役割を担っている制度です。
それぞれの制度での借り方について見ていきましょう。
生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯と障害者世帯、そして高齢者世帯の3つの世帯に対して融資を行う国のセーフティーネットです。
障害者であれば障害者世帯として、福祉資金や教育支援資金を無利子もしくは低金利(年1.5%)で借りることができます。
また、収入が少なくて低所得世帯になる場合には、生活費などを借りることも可能です。
いずれで借りるにしても、まずは市区町村社会福祉協議会での相談が必要ですので、お住いの地域の社会福祉協議会で借りることかできないか確認してみましょう。

年金担保融資貸付制度
年金を担保に融資をすることは禁止されているとお伝えしましたが、実は独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資貸付だけは、唯一年金を担保にお金を貸すことが認められています。
- 10万円~200万円(生活費は80万円まで)
- 受給している年金の0.8倍もしくは1回あたりの返済額の15倍以内
このような条件がありますが、低金利でお金を借りることができますので、障害者年金を受けているのあれば、おすすめの借入方法のひとつです。
ただし、平成34年3月末でこの制度が終了する予定ですので、それ以降は生活福祉資金貸付制度を利用しましょう。

正規の金融機関と国の制度以外からは借りない
障害者がお金を借りるときに気をつけてもらいたいのが、どこから借りるのかということです。
基本的には銀行や消費者金融などの正規の金融機関、もしくは上でご紹介した2つの貸付制度以外からは借りることができません。
- 闇金業者
- 個人融資
このような借り方は絶対にしないように気をつけましょう。
闇金業者は中小の消費者金融に紛れていますので、なかなか違いが分かりにくいかもしれませんが、金利が年20%を超えている融資を提案されたらそれは闇金業者です。
彼らはとても口が上手いので、気がついたら契約させられてしまいます。
そして、高額な利息を請求されるだけでなく、様々な手口を使ってお金を吸い上げようとしてきます。
関わったら、そこから抜け出すのは容易ではありません。
絶対に利用しないように注意してください。

インターネットの掲示板などを使った個人融資もNGです。
こちらも、実際に融資しているのは闇金業者で、さらには詐欺師なども紛れています。
親切なフリをして個人情報を盗み取るといったことをしてきますので、このような方法での借入れはしないように気をつけましょう。

障害者がお金を借りるときは周りに相談しよう
障害者でも健常者と変わらない生活を送れている人は、お金の借りやすさも健常者と変わりません。
安定した収入があるかないか、借りすぎてないかなどをチェックされて、問題ないと判断されれば融資を受けることができます。
ただ、障害があることでできないことがある場合には、自分だけでなんとかしようとせずに、周りの人たちに協力してもらいましょう。
お金を借りることを知られたくないと思うかもしれませんが、障害者への配慮をしているローン商品はほとんどありません。
可能であれば、お金を借りるときには家族にお願いして、一緒に窓口に行くようにしてください。
サポートする家族がいるというだけで、金融機関への印象も良くなります。
ちょっとしたことですが、そのようなちょっとしたことの積み重ねが審査通過につながります。
ただし、返済だけはきちんとして、周りの人に迷惑をかけないように注意してください。
このため、借り入れをするときには、必ず返済計画を立ててから、無理のない借入れをしてください。