まとまったお金が必要になったけど、銀行などからは借りれそうにない。
そういうときに株を持っていると、それを売却してお金を得ることができます。
でも、その会社の業績が右肩上がりで、いま手放すのはもったいないですよね。
そういうときには、株を担保にお金を借りることができる、証券担保融資制度を利用しましょう。
株を手放す必要がありませんので、株価が上がって悔しい思いをすることもありません。
ここでは、そんな証券担保融資制度について、分かりやすく解説していきます。
このページで分かること
銀行などからお金を借りることができなくても、株を保有しているのであれば、証券担保融資制度を使って株を担保にお金を借りることができます。
担保にする株の種類にもよりますが、評価額の60〜70%を上限に何度も借入れできます。
お金を借りられないときに、証券担保融資制度はとてもありがたい制度ですが、株価が下がってしまうと担保割れする可能性があります。
下落幅が大きい場合には、高額な借金を背負う可能性がありますので、リスク管理をしっかりと行う必要があります。
株を担保にお金を借りる証券担保融資とは?
証券担保融資とは、株式などの有価証券を担保として証券会社に預け、証券会社や証券会社と提携している銀行が融資を行うという融資方法です。
利用者は株を売らずに済みますし、融資する側は利益を得ることができるという、win-winの関係で取引できる融資方法でもあります。

証券担保融資の仕組み
仕組みとしては大きく分けて3種類あります。
- 有価証券を担保として証券会社が預かり、銀行が融資を行う
- 有価証券を担保として証券会社が預かり、日証金(日本証券金融)が融資を行う
- 有価証券を担保として証券会社が預かり、証券会社が融資を行う
例えば野村證券の証券担保ローン「野村Webローン」では、野村信託銀行が融資し、同じく野村證券の「新コムストックローン」は日証金が融資を行います。
大和証券の証券担保ローン「ダイワLMS」は大和証券が融資を行うなど、証券会社によってどこが融資するのかが違ってきます。
株を担保にお金を借りるときには、「誰が融資を行うのか」を意識するようにしましょう。
ただし、どこから借りるのが有利なのかは商品ごとに違いますので、あまり気にする必要はありません。
お金を借りるにあたっての融資元がどこなのかだけ、はっきりさせておけばそれでOKです。
証券担保融資の種類
証券担保融資で担保にできるのは株だけではありません。
一般的な証券担保融資では下記のような有価証券も担保にすることができます。
- 国内上場株式
- 海外上場株式
- 国債
- 政府保証債
- 地方債
- 金融債
- 電力債
- 社債
- 円建外債
- 外貨建債券
- 投資信託
かなり幅広い有価証券が対象になっていることを、分かっていただけるかと思います。
ただし、証券会社によって取扱い有価証券に多少の違いがありますので、利用している証券会社に確認してください。
株を担保にお金を借りる3つのメリット
株を担保にお金を借りる証券担保融資制度には、このような3つのメリットがあります。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
低金利で借りることができる
証券担保融資の金利相場は4%前後ですので、銀行のカードローンで借りるよりも低い金利でお金を借りることができます。
実際の証券担保融資商品の金利をいくつかリストアップします。
大和証券・ダイワのSATローンⅡ(実質年率):年3.21~3.29%
野村證券・新コムストックローン:年3.175〜4.175%
三田証券・有価証券担保ローン:年1.8~14.0%
三田証券のように、銀行のカードローンと同等の金利の商品もありますが、基本的には低金利で融資を受けられますので、返済総額を減らすことができます。

証券の価値に合わせて大金も融資してもらえる
株を担保にお金を借りる場合、その株の評価額に応じた金額を融資してもらえます。
ただし、株価が下がることも想定して、ある程度の余裕のある融資額が設定されています。
株価に対していくらまで融資できるかは金融機関によって違いますが、60〜70%が相場です。
このため、評価額が1000万円の株を保有していた場合には、600万〜700万円借りることができます。
銀行からこれくらいの金額を借りたければ、年収が1200万〜1400万円くらい必要になりますが、証券担保融資であれば年収に関係なく高額な借入れが可能です。
各証券会社が設定している融資可能額も、1億円以上に設定されているものが多く、ダイワのSATローンⅡはなんと10億円まで借りることができます。
しかも、そのお金の使用用途は原則自由で、何に使っても構いません。
カードローン方式なので出し入れ自由
証券担保融資の借り方としては、カードローン方式を採用していますので、利用可能額の範囲内で何度も借りることができます。
例えば利用可能額が300万円で100万円借りたとしたら、まだ200万円借りることができます。
100万円を返済すれば、また300万円借りることができます。
いずれの商品でも契約期間がありますが、いずれもカードローンと同じように更新できます。
返済の遅延などがない限り更新可能ですので、契約期間満了の年齢まで利用できるのも大きなメリットのひとつです。
株を担保にお金を借りる手順
- 申し込み
- 審査
- 契約
- 融資開始
証券担保融資の利用手順は証券会社によって多少の違いはありますが、基本的にはこの4つのステップで行います。
インターネットから申し込みが主流ですが、郵送や窓口での申し込みにも対応している証券会社もあります。
審査はカードローンほど厳しくはありません。
カードローンは信用をベースに融資を行いますが、証券担保融資では、保有している有価証券の評価額によって融資を行います。
ただし、返済する必要がありますので、収入があるかどうかをチェックされることもあります。
審査が終わると契約となり、融資を受けることができるようになります。
融資方法も証券会社ごとにちがいますので、利用する証券会社にお問い合わせください。
株を担保にお金を借りるときの注意点
手軽に大金を借りることができる証券担保融資ですが、利用するにあたってカードローンとは違った注意点が2つあります。
この2点を意識しておかないと、多額な借金を背負う可能性がありますので、それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
株価が下がってしまうと担保割れする可能性がある
株価というのは常に変動しています。
長期間右肩上がりであっても、将来の株価がどうなるのかは誰にも分かりません。
株を所有している会社が不祥事を起こした場合、株価が半分になるようなことも珍しくありません。
場合によっては取引停止や上場廃止になることもあります。
そのようなときに担保割れしてしまうと、証券会社から追加担保の差入れや一部返済を求められます。
基本的にはどの証券会社も危険水位になったところで、Eメールなどで通知してくれますが、それを見逃すと、気がついたら担保不足になっていたということもあります。
追加担保の差し入れや一部返済が行われなかった場合には、担保有価証券の処分が行われ、返済に充てられてしまいますので注意してください。
もちろん不足分も請求されますので、そうなる前に自分で株を売却して、返済しておきましょう。
必要以上に借り過ぎず、返済はこまめに行う
借りたお金の返済方法も証券会社によって違いますが、利息だけ払い続ければ元本の返済を求められないような商品もあります。
だからといって、いつまでも借金を抱えているのはリスクが高く、おすすめできません。
すでにお伝えしましたように、高額な借入れは元本割れの可能性があり、それに気づかずに高額な借金を背負う可能性もあります。
そうならないようにするために、借入額が担保評価額の10〜20%程度の範囲内で借りるようにしましょう。
どうしても高額な借入れが必要な場合には、できるだけ早く返済して、借り入れしている期間が短くなるように注意してください。
証券担保融資はリスクを理解して利用すること
証券担保融資は株を売らずにお金を借りることができますが、無理な借入れは大きな損失につながります。
借りられる額いっぱいまで借りてしまうと、株の暴落に対応しきれずに、返済不可能な借金を背負うリスクもあります。
それを避けたいのであれば、最初から株を売ってしまうというのもひとつの方法です。
株価が下がってしまってからでは、冷静な判断ができませんので、まずは申込みをするときに、株を売るべきか残すべきかをしっかりと判断してください。
株を担保にお金を借りると決めた場合には、とにかくリスクを負わないということを意識しましょう。
借入額は担保評価額よりも十分に低い額に抑えて、株が下落しているときには、早いタイミングで売却して損失が出ないように心がけて利用しましょう。