街の駐車場などで「車で融資」「車に乗ったままお金を借りられる」といった広告を見かけたことのある人は多いのではないでしょうか。
お金が必要なのに、銀行や消費者金融から借りられなかった人からすると、このような車を担保にしてお金を借りることができるサービスはとても魅力的ですよね。
でも、このお金の借り方には様々な問題が潜んでいます。
どのような問題が潜んでいるのか、そしてどうすれば安全に利用できるのかについて、詳しくご紹介していきます。
このページで分かること

車を担保にする場合はまとまったお金を借りることが多いからか、悪質な業者も多い。
しっかりと見極める目を持つことが重要だ。
車を担保にお金を借りることは違法ではありません。
ただし、それを悪用して違法な融資を行っている業者が多いというのが現実です。
どうしても利用したい場合には、その違法性に目をつむってお金を借りるしかありません。
このとき、名義変更手数料が1万円程度かかるのは妥協しても、それ以上の手数料や20%を超える金利で融資している業者は利用しないようにしましょう。
また、車の評価額が十分に高い場合には、不利な条件での借り入れをするのではなく、売却するという方法も検討しましょう。
車を担保にお金を借りるのは合法?
銀行などの一般的な金融機関では不動産を担保にした融資は行っていても、車を担保にお金を借りることはできません。
そうなると、この方法での借入れは違法なのではないかと不安になりますよね。
でも、その点は安心してください。
車を担保にお金を借りるのは違法ではありません。
例えば質屋などでは、ブランド品などを担保にお金を貸しています。
それとは少し違いますが、何かを担保にしてお金を貸すというのは、少し前ではあたり前に行われてきた融資方法のひとつです。
ただし、これを悪用している業者が多いというのが、車担保借り入れの大きな問題となっています。
まともに融資を行っている業者もありますが、そうではない業者があまりにも多すぎるため、少しグレーなイメージが定着しています。
いろいろと考え方はありますが、ブラックリスト入りした人でも融資を受けることができ、即日融資設けられるなどのメリットがあるのも車担保借り入れの特徴です。
このため、困ったときに頼れる借入れ方法でもあります。
正しい知識を持っていれば、トラブルに巻き込まれたり、騙されたりするのを回避できますので、利用する前に基本的な利用方法や注意点をきちんと把握しておきましょう。

車担保借り入れの仕組み
それでは、車を担保にお金を借りるときの仕組みや基本的な利用方法について見ていきましょう。
分かってるよという人も、認識違いをしている可能性もありますので、きちんと読んでおきましょう。
車を担保にお金を借りるときの手順
- 電話で仮審査を受ける
- 車に乗って来店
- 車の査定と本審査
- 勤め先への在籍確認
- 必要書類の提出
- 車の名義変更
- 貸付実行

以外に多いように見えるが、実際にやってみるとかなりスムーズな流れだ。
詳しいやり方は相手が教えてくれることも多く、こちらの負担はほとんどない。
業者によっては多少の違いはありますが、全体の流れはこのようになっています。
カードローンなどのローン商品と基本的な部分での違いはありません。
申し込みをし、審査を受けて、問題なければ融資を受けることができます。
カードローンなどと違うのは、車の査定が行われるという点です。
車を担保にするわけですから、どれくらいの価値があるかを調べられます。
査定の時間は30〜40分で、査定内容に応じていくらまで融資をするかを業者が判断します。
また、契約をすると車の名義が業者に変わります。
業者にしてみれば、名義を変えないとお金の持ち逃げをされる可能性があるので、これを避けることはできません。
この名義変更をするからこそ融資を受けられるのだと考えてください。
名義を変更しても、もちろん車には乗り続けることができます。
ただし、業者によっては車を預けなくてはいけないケースや、業者からリースという形で車を借り、リース費用を払わなくてはいけないケースもあります。

車担保借り入れでの融資可能額
車を担保にお金を借りる手順として、車の査定について簡単に説明しましたが、この査定が融資可能額に影響します。
車の査定額は車買取と同じように、年式や走行距離、車の状態などをチェックされ、中古車市場での買取相場から決定されます。
そして、その査定額の50〜70%程度の金額を融資してもらえます。
100%ではないの?と思うかもしれませんが、仮に査定額が100万円の車があったとして、返済に2年かかったとします。
この2年の間に車の価値というのはどんどん下がってしまいます。
返済できなくなったときには車を売って返済に充てられますが、車の価値が下がっていると、売却額が借入額よりも低くなる可能性があります。
そうなると、業者は貸したお金を担保で回収できなくなるため、リスク回避のために相場よりも低い額しか融資してもらえません。
車を担保にお金を借りるときの金利
車を担保にお金を借りるときの金利は年15〜20%くらいで、カードローンよりもやや高めです。
ただし、年20%というのが法律で決められた上限金利ですので、消費者金融のカードローンなら、金利差に大きな違いはありません。
もし年20%を超える金利がかかるという場合には、それは違法行為をしている闇金業者ですので、絶対にそのような金融機関から借りないようにしましょう。

手続きにかかる手数料に注意しよう
車を担保にお金を借りるときに、気をつけなくては行けないのが手数料です。
名義変更にお金がかかりますので、この手数料を請求されることがあります。
正確には手数料という名前では請求されません。
うまく言葉を濁して名義変更費用を取られてしまいます。
貸金業法でも銀行法でも利息以外に手数料を取ることを禁止しています。
手数料などの手続きで発生する費用はすべて利息として請求する必要がありますが、利息は利息制限法によって上限が決まっていますので、うまく「手数料」という言葉を使わずに費用を請求してきます。
これはもちろん違法です。
このような業者は使わないようにするか、「利息以外に払うのは違法だと聞いています」と伝えてください。
ただ、ほとんどの業者が7,000円や1万円の手数料を当然のことのように請求してきます。
請求してこない業者を見つけるのは、かなり難しいので場合によってはどこかで妥協しなくては、借りることができないケースもありますので、臨機応変に対応しましょう。
ただ、2万円を超えるような手数料は、さすがにぼったくり金額ですので利用を避けてください。
契約に必要な書類
車担保借り入れでお金を借りる場合、次のような書類が必要になります。

印鑑証明書や住民票はすぐに用意出来ないことも多い。
あらかじめいくつか持っておくと楽だ。
契約に必要な書類は、カードローンを借りるときよりも種類が多くなっています。
注意したいのが、すべての書類の現住所が一致しているということです。
引っ越しをしたという人は車検証の住所が変わっていないということがよくあります。
何度も引っ越しをしている人は、戸籍の附票などの別の書類も必要になります。
業者によっては車検証を預けるように指示されることがありますが、車検証は必ず車内に保管する必要があります。
車検証を預けるというのは、あってはならない指示ですので、それをしてくる業者は利用を避けるようにしましょう。
必要な書類については業者ごとに違いますので、来店前に確認しておきましょう。
車を担保にお金を借りるときのQ&A
車担保借り入れについて、概要は理解できたかと思いますが、疑問に感じる点も多く残っているかと思います。
このため、ここでは車担保借り入れにおけるよくある質問とその回答をまとめてご紹介していきます。
車検証の名義は誰になる?
車担保借り入れ業者からお金を借りると、完済するまでは車の名義が業者になります。
これを行わないと、業者は担保である車を売ることができませんので、必ず名義変更は行われます。
もちろん完済すれば車の名義は元に戻ります。
すでに説明しましたように、借りるときも完済したときも、名義変更のための手数料を払わされます(実際には違法ですが)。
あまりにも手数料が高い業者は利用しないようにしてください。
理想は手数料がかからない業者ですが、1万円程度は仕方ないと考えておきましょう。
車を預けている間の保険や税金は?
車を預けてお金を借りているような状態でも、自賠責保険料や自動車税は自分で支払わないといけません。
実際、車担保借り入れ業者は、車に乗っていないお客さんに保険や税金は支払わせるのが普通になっています。
しかし、お金を貸しているとはいえ、自動車税は車検証の名義人なので、本来なら車担保借り入れ業者が支払うべき費用です。
名義変更手数料同様に、なし崩し的に利用者が負担しているのが現実です。

マイカーローンがあっても車担保借り入れができる?
マイカーローンで車の代金を払っているような場合、銀行などが車検証の名義になっているので車担保借り入れはできません。
また、名義が自分になっていても、ほとんどのマイカーローンはローンが残った状態で車を担保に入れることを禁止しています。
バレてしまった場合には、一括返済を求められます。
これを回避するために、業者は融資希望額額にローン残金を合わせて融資して、マイカーローンを完済させたうえでお金を貸すことがあります。
この方法は借り換えの形になりますので、違法性はありません。
車を担保にお金を借りるときに気をつけたい落とし穴
車を担保にお金を借りるときの注意点は、ただひとつ。
それは返済が滞ると車を売られてしまうということです。
即売却されるということはあまりありませんが、返済できないでいると、借金の一括返済か車の売却かを求められます。
このとき、きちんとした業者であれば、売却額からローン残高を引いた差額を返金してくれますが、業者によっては差額を返してくれません。
例えば80万円の借金が残っている状態で返済できなくなって、車が100万円で売れたとしたら20万円は自分のものになるはずです。
なのに、「名義が移っているから」「違約金だから」と返済してくれないこともあります。
この点については、契約時に必ず確認しておきましょう。
いくら、名義が移っているからといっても、売却益を得る権利は自分にあります。
ただし、売却額がローン残高よりも低かった場合には、当然差額を支払わなければいけません。
いずれにしても大事なのは、返済できなくなったら車を売られてしまうということです。
そのことを忘れずに、完済まで滞ることなく返済を続けましょう。
どうしても車が必要だというのでなければ売却がおすすめ
最初にお伝えしましたように、車を担保にお金を借りること自体には違法性はありません。
ただ、ここまでの説明で分かってもらえたかと思いますが、ほとんどの業者が何らかの形で違法行為を行って利益を得ています。
これが車担保借り入れの現実です。
利用する場合には、それを意識して利用してもらいたいところですが、車の価値が高いのであれば、最初から売却という選択肢も頭に入れておきましょう。
車が高く売れるなら、必要なお金の差額で中古の軽自動車くらいは購入できるはずです。
周りの人たちの目は気になるかもしれませんが、実用上はそれで問題ないはずです。
車担保借り入れは基本的には損をする借入方法です。
他から借りられなかった人の最終手段であり、不利な条件にしかなりませんので、売却するという選択肢も頭に入れておきましょう。