弁護士や司法書士に依頼して債務整理をすると「債務整理中はお金を借りることのないように」と釘を刺されます。
でも、そういうときに限って冠婚葬祭などで、お金が必要になるものですよね。
そんなときに、どうすればお金を借りることができるのかについて、分かりやすくご紹介していきます。
このページで分かること
債務整理中であっても、中小の消費者金融なら融資をしてくれることがあります。
ただし、そこで借りたことがバレてしまうと、債務整理ができなくなる可能性もあります。
債務整理中はどんな理由があっても金融機関からは借り入れしてはいけません。
どうしてもお金が必要なら、「モノを売る」「家族から借りる」「日雇いバイトをする」「給料を前払いしてもらう」などの方法で調達しましょう。
また、債務整理中にお金が必要という状態は、債務整理後にも同じことになる可能性があります。
自分で解決できない場合には、弁護士や司法書士に相談して家計の収支バランスを整えるためのアドバイスをもらいましょう。

債務整理中とは?
そもそも債務整理中というのは、どういうときのことを示すのでしょう?
実はこれには2つの解釈があります。
1つは手続きが始まってから終わるまで。
もう1つは手続きが終わってから返済が済むまでです。
債務整理だから返済なんてあるの?と思うかもしれませんが、債務整理には次の4種類があり、自己破産以外は何らかの形でお金を返すことになります。
- 自己破産
- 任意整理
- 個人再生
- 特定調停
ここでご紹介する「債務整理中」というのは、弁護士や司法書士の「手続きが始まってから終わるまで」として説明していきます。
債務整理中は金融機関からお金を借りることができる?
債務整理は、弁護士や司法書士への委任(自己破産・任意整理・個人再生)もしくは、裁判所への申し立て(特定調停)で始まります。
この時点で、借金の返済が止まりますので、いわゆるブラックリストに載った状態になります。
実際にはブラックリストというものは存在せず、個人信用情報機関で管理している個人の取引情報に金融事故の履歴が残ります。
個人信用情報機関はJICC、CIC、KSCの3つがあり、どのタイミングで金融事故の履歴が記載されるかは個人信用情報機関ごとに違います。
ただ、基本的には債務整理が始まったら、ブラックリストに載っていると考えてください。
これを踏まえて、金融機関からお金を借りることができるかどうかを説明していきます。

銀行や大手消費者金融からは借りれない
ブラックリストに載ると、銀行や大手消費者金融は絶対に融資をしてくれません。
無担保ローンの場合には、信用をベースに融資を行っています。
ブラックリストに載るというのは、貸したお金をきちんと返済できなかったということですので、信頼がゼロの状態になるわけです。
信用できない友だちに「お金を貸して」と頼まれても、断りますよね。
それと同じことで、ブラックリストに載っている人に対しは、どんな理由があっても銀行や大手消費者金融は融資をしてくれません。
大手消費者金融は審査が甘いという印象があるかもしれませんが、100%審査落ちしますのでこれらの金融機関からお金をかりるのは諦めましょう。
中小の消費者金融なら借りられる可能性もある
ブラックリストに載っている人でも、お金を借りることができる可能性があるのが中小の消費者金融です。
金融事故を起こして信用を失っていても、安定した収入があれば中小の消費者金融は融資を行ってくれます。
中小の消費者金融は大手が融資を断るような人を対象に融資を行っていますので、金融事故を起こしたという理由だけで審査落ちするということはありません。
ここで大事なのは、返済できるだけの収入があるかどうかという点だけです。
ただし、自己破産の場合には中小の消費者金融でも融資を断ってきます。
自己破産の債務整理中にお金を借りると、自己破産が認められなくなります。
そうなると、多額の借金を背負っている人に融資をしたことになり、かなりのリスクを負うことになるためです。
また、借りられるといっても弁護士や司法書士に「債務整理中はお金を借りることのないように」と釘を刺されているわけです。
借りたことがバレた場合には、大きな問題になってしまいます。
どのような事態になるのか、次章で詳しくご紹介していきます。
債務整理中にお金を借りたことがバレたらどうなる?
債務整理中にお金を借り、それが弁護士や司法書士にバレると、次のような状態になってしまいます。
いろいろとありますが、簡単にまとめると債務整理の手続きを進められなくなります。
例えば任意整理をしているときにお金を借りたとします。
弁護士や司法書士の交渉によりA社の借金が100万円から90万円に引き下げようとしているところに、B社から50万円借りてそこへは通常の返済をするとなると、A社は納得できませんよね。
この結果、交渉を進めることが困難になります。
弁護士や司法書士も、約束を守れなかった人を手助けする義務はありませんし、何よりも自分たちの交渉の苦労を水の泡にされたわけですから、「これ以上関わりたくない」として、手を引いてしまいます。
裁判所も同様で、個人再生の認可取り消しや自己破産の免責を認めないという対応をされます。
このため、債務整理中はお金を借りることができたとしても、借りたことによって債務整理の手続きが止まってしまいます。
債務整理をしたいのであれば、絶対に金融機関からの借入れは避けるようにしてください。

債務整理中にお金が必要になるのは早急に改善が必要
債務整理中は金融機関からはお金を借りてはいけない。
これが基本的な考え方であり、債務整理をするというのはそういうことなのです。
それでも、やっぱりお金が必要になることもあるという人もいるかもしれません。
そう感じたときは、一度立ち止まってよく考えてください。
債務整理中は借金の返済が必要ないわけですから、よほどのことがないとお金が足りないという状態にはならないはずです。
もし、本当にお金が必要になったのだとすると、債務整理を終えてもまたお金に困ることになります。
お金が必要という問題も重要ですが、早急に家計の収支バランスを見直す必要があります。
家計の中で無駄な出費がないかを確認し、収入が足りていないのであれば、副業をするなどして収入を増やすようにしましょう。
当然ですがギャンブルからは足を洗うようにしましょう。
自分だけで見直しするのが難しい場合には、債務整理をお願いしている弁護士や司法書士に相談してください。
それでもお金が必要になったときには
お金が必要になっていることがおかしいと言われても、必要なのだからまずはそれを解決したいという人もいますよね。
そういう場合の手段として挙げられるのがこの4点です。
それぞれの方法について注意点も合わせて説明します。
モノを売る
最もシンプルな方法がモノを売るという方法です。
手元にある漫画やDVD、古いスマートフォンなど、売るとお金になるものが意外とたくさんあります。
1つ1つはそれほど価値がなくても、1000円で売れるものが10個あれば1万円です。
ただし、自己破産の場合には債務整理中に資産となるものを売ることができませんので、どんな些細なものでも売る前には担当の弁護士に確認してから売るようにしましょう。

家族から借りる
きちんと返済するあてがあるなら、家族から借りるようにしましょう。
家族に金銭的な余裕がないのであれば、家族に借りてもらうという方法もあります。
借金は個人の問題ですので、自分が債務整理中であっても、家族は関係なくお金を借りることができます。
ただし、借りたお金を返済できなかったときには、家族に負担がかかってしまいます。
絶対に迷惑をかけないという確信があるときだけ、必要な理由を説明して貸してもらいましょう。

日雇いバイトをする
必要なお金が数万円なら、日雇いバイトがおすすめです。
借りるわけではありませんので、借金の額はそのままです。
正当な労働に対する報酬ですので、これなら弁護士や司法書士に叱られることもありません。
探せば1日1万円くらいのバイトはいくつもあります。
お金が必要になったときには働けばいい。
そういう思考回路を作っておくと、債務整理後にお金が必要になったときも、おかしな借り方をせずに済みます。

給料を前払いしてもらう
意外と知られていませんが、働いた分の給料は前払いしてもらうことができます。
「出産、疾病、災害等の非常の場合」に限られますが、すでに働いた分を会社に請求すると、会社はそれに応じなくてはいけません。
もしお金が必要な理由が病気などであれば、まずは上司に相談してみてください。
債務整理中であることは伝える必要はありません。
「貯金が全然なくて」と伝えれば、それ以上の詮索はされることもありませんので、どうしもお金に困ったときの借り方のひとつとして覚えておきましょう。

債務整理中は金融機関からお金を借りないこと
繰り返しになりますが、債務整理中には絶対に金融機関からお金を借りないようにしてください。
これが守れない場合には、債務整理に応じてくれる弁護士も司法書士もいません。
そして、債務整理後も基本的には金融機関から借りないようにしてください。
債務整理後もブラックリスト入りしていますので、金融事故歴が消えるまでは銀行や大手消費者金融は融資を断りますが、中小の消費者金融なら借りられます。
でも、1度借りてしまうと、また同じことを繰り返してしまいます。
債務整理をするというのは、やり直しをするということです。
生活を立て直して、家計の収支バランスが崩れないように心がけること。
それをしなければ、債務整理をした意味がなくなります。
お金が必要になったら借りようとするのではなく、担当の弁護士や司法書士に相談して、解決策を提案してもらいましょう。